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霊明殿 / 大覚寺

霊明殿は、京都市右京区の大覚寺にある殿舎で、歴代天皇の尊牌(位牌)を祀っています。「霊明殿」の名称は、古代中国の皇帝が天に先祖を祀るための廟堂「霊台」「明堂」に由来し、日本では天皇に関する位牌所を指す際に用いられます。同様の霊明殿は、皇室ゆかりの寺院である仁和寺などにも存在します。 現在の霊明殿は、1884年(明治17年)に明治天皇の勅命により再建されたもので、宮内省内匠寮によって造営されました。外観は宸殿風で、屋根は檜皮葺となっています。内部は内陣・中陣・外陣に分かれ、内陣は5室の厨子から構成されています。中央の厨子には四条天皇の尊像と尊牌をはじめ、明治天皇、昭憲皇太后、大正天皇、貞明皇后、昭和天皇、香淳皇后の御真影と尊牌が奉安されています。その他の天皇や皇后の尊牌は左右の厨子内に、さらに左右には皇族の尊牌が祀られています。 歴代天皇の尊牌は、かつて内裏(現在の京都御所)清涼殿の黒戸(仏間)などに安置され、仏式で供養が行われていました。しかし、明治維新後の神仏分離により、宮中祭祀はすべて神式となったため、これらの尊牌は泉涌寺に遷されました。大覚寺の霊明殿も、こうした歴史的背景の中で再建され、皇室の菩提寺としての役割を果たしています。 なお、泉涌寺の霊明殿には天智天皇以降の天皇が祀られていますが、天武系統の天皇は奈良県内の薬師寺や東大寺、西大寺などに祀られています。


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