

東廻廊 / 厳島神社
厳島神社の「東廻廊」は、他の建造物と同様に、自然と調和した美しい設計を持つ廻廊です。この東廻廊は、通常の神社に見られるような敷地を四角く囲むための回廊ではなく、海上に建つ各建物と陸地をつなぐ役割を果たしています。全長約81メートルで、幾度か折れ曲がる複雑な形状をしています。その起点は地上部にあり、客神社の祓殿と拝殿の間を通過した後、3回直角に折れ曲がりながら本社祓殿の東面へと接続します。こうした設計は、単なる通路としての機能を超え、海上の神社建築の一部として独特の空間美を形成しています。 構造的には、廻廊の組物に舟肘木が使用され、梁間方向に虹梁が渡されているのが特徴です。虹梁の上には「又首」が組まれ、その又首の上に舟肘木を用いて桁を支える形になっています。床板には隙間が設けられており、高潮時に水圧を逃がす工夫が施されています。このような構造は、海上建築としての実用性を兼ね備えつつ、神社建築の美しさを引き立てるものです。 歴史的には、東廻廊には多くの棟札が残されており、これにより室町時代末期から桃山時代にかけて順次整備されたことが分かっています。その後、明治時代末期頃には床板が張り替えられ、磨耗を防ぐために保護板が追加されました。これにより、東廻廊は長い歴史の中で維持されつつ、現在に至るまで多くの人々にその美しさを提供しています。
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