

平安の遣水 / 大覚寺
「平安の遣水」は、京都市右京区の大覚寺境内にある名所で、平安時代の庭園文化を今に伝える遣水です。遣水とは、庭園内に設けられた人工の小川や水路のことで、平安時代の貴族たちはこのような水路に詩歌や酒杯を流し、風流を楽しんでいました。 大覚寺の遣水は、嵯峨天皇が唐の洞庭湖を模して造営したとされる大沢池とともに設けられたもので、当時の唐風文化の影響を色濃く残しています。この遣水は、名古曽の滝からの水を引き込み、庭園内を流れて大沢池へと注いでいました。名古曽の滝は、離宮嵯峨院にあった滝殿庭園内に設けられたもので、百済川成が作庭したと伝えられています。 しかし、平安時代末期には滝の水が枯れ、遣水としての機能も失われました。現在では、当時の庭園文化を偲ぶ遺構として、その風情を楽しむことができます。大覚寺の遣水と大沢池は、1923年に国の名勝に指定されており、毎年中秋の名月の頃には大沢池で「観月の夕べ」が催され、多くの人々が訪れます。
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